皇紀2669年__日本の建国を祝う愛知県民の集い_
_第三部、記念講演「日本の伝統と親学」講師:小川洋次郎氏_
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小川洋次郎氏
昭和42年10月10日生。親学アドバイザー
事業経営の傍ら地元の商工会当で活躍。
日本教育再生機構運営委員、親学推進協会アドバイザーを努める一方、
親学や教育、まちづくり、青少年育成についての講演をはじめ、教育新聞
教育関係機関紙寄稿など教育問題を中心に活動を続けている。


 講談は、新しい教育基本法から入った。
平成18年12月15日、新しい教育基本法が成立。同22日公布
施行。前文「公共の精神を尊び、豊かな人間性と創造性を備
えた、人間の育成」「伝統を継承し」「未来を切り開く教育」「個・私から公」そして「家庭教育の再生」
「道徳の教育」。学校に全てを任せるのではなく家庭教育で実践していく。 家庭での教師は『親』
 この保護者に対する学習の機会を与えること=「親学」。
幼児期の教育は、生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なもの。家庭教育では、男女で役割が
異なる。共感する能力は母性、システム化する能力は父性が特徴。道徳観の基は、女性は「優しさ」
男性は「正しさ」となります。子供にはこの2つをバランス良く教えることが大切。母性的かかわりで他
人と共感することを教え、父性的かかわりを通して子供に対してルールや善悪を教える。
「臨界期の存在」
 1920年カルカッタの洞窟で発見された少女は、死ぬま
での9年間で40の言葉を発するようになったが、結果、
言葉に臨界期がることの証拠となった。人間として育つ
ことにも臨界期がある。
 2歳から3歳の時期までに教育・刺激をしなければ発達
に支障をきたす。これを脳の臨界期と言う。
 臨界期までに理性を司り、人間脳とも称される前頭前野を刺激し、自己抑制を教えることが大切。
前頭前野が発育しなければ我慢や忍耐ができない、「キレやすい子」になる。そうならないためには、
第一次反抗期(3歳前後)を迎えるまでに、ある程度我慢を経験させ、自己抑制力の基本トレーニン
グを完了させること。
 ●視力の臨界期
 生後から2〜3歳までの間に眼帯を長期的にした
場合、機能的障害はなくとも視力が全くなくなる。
 ●言語の臨界期
 1920年インドで狼に育てられ、8歳の時に発見され
た少女は、その後死ぬまでの9年間人間に育てられ
たが、言語は4年目に6語、7年目に40語、9年目で
3歳幼児程度の会話しかできなかった。
ちなみに、少女は、普段は二足歩行ができたが、走
る時は4本足に戻った。人間として育つにも臨界期が
あると言えそうだ。
 ●絆の臨界期
 テレビに子守を任せる、そっぽを向いて哺乳瓶で授乳する、0歳保育、など母親との接点不足から、
表情のない物静かな赤ちゃん「サイレント・ベビー」が増えた。自分の欲求や願望を無視され、あきら
めた子供はコミュニケーション力が発達せず、引きこもりなど様々な心のトラブルを引き起こす可能性
がある。乳児にとって、脳を活性化し発育を促す母親との触れ合い、母親からの語りかけは不可欠で
ある。
 脳の退化の原因
 ●ゲーム

 幼児期からゲームを1日2〜4時間、10年続けると脳の活動は退化し、表情はなくなり、キレやすくな
る。友人とボール遊びをするのとは違い、画像情報を脳で処理するだけのゲームでは、脳内で使われ
る回路が単純化し、前頭前野に信号が届かなくなる。

 前頭連合野
 理性、注意、思考、意欲、情動を行動に変換したり、人間らしさ、道徳といった高次の内容を処理す
る場所。ここに障害があると、注意散漫になり、意識を集中させることができなくなる。自発的は行動
が減り、何事にも無関心になってしまい、ただ、生きているだけといった状態になる。

 キレた時の脳のなか
 扁桃体などの古い脳に対する前頭前野からの抑制がなくなり、視床−扁桃体からの攻撃的行為が
起こる。

 激情の抑制
 扁桃体からの突発的な行動が、前頭前野からの抑制信号によって、常に抑えられている。
〔森昭雄『ゲーム脳の恐怖』(森昭雄著・日本放送出版協会発行)より引用〕
読み聞かせがコミュニケーション力を育む
 ヒト生理的早産で誕生し、自然界で生活できるようになる6歳までは子育て
の手が必要な動物だと言われます。
 6歳までと言うと最も脳が発育する時期でもあり、親が教師となり、家庭が
主な教育の場となります。2歳と言われる情動の臨界期を考えると、胎児の
間から2歳までの家庭での教育が、子供の未来を決めるといっても過言では
ありません。情動は人間の感情の基本となるものです。
 情動を育むのに最も適した手段は、触れ合いと語りかけです。情動の次に
感情と感性が発育します。幼児は、体験したこと、感じたこと、思いなどに言
葉をなぞり、少しずつ組み立て、声に出し、伝えようとします。多くの体験と多
くの言葉を学ぶことによって、自分の心の中で、考えをまとめることが出来る
のです。
 語彙の豊富さが、思慮深い人を作り、コミュニケーション力を左右します。 良いコミュニケーションに
は、正しい日本語で語ることが必要なのは言うまでもありません。
 そこで有効なのが、絵本の読み聞かせです。本には、普段話し言葉では使わない単語が多く出てき
ます。読み聞かせることで、想像力が膨らみ、感性豊かな心を育むこともできるのです。

日本神話の絵本が社会を救う

 0歳からの読み聞かせ絵本として最も適したものは、「日本神話」です。
 口頭伝承されてきた日本神話は、音のリズムが良く、その世界に容易に引き込まれること、我々の祖
先がどのように国土を創り、人間の叡智と勇気でどのように社会を築いてきたかを描いた物語であるこ
とが理由です。

 あめのみなかぬし様に始まる神々は、非常に人間的で、感情豊かに笑い、泣き、怒り、悲しみます。
夫婦は男女が担う役割をしっかり果たし、言うことを聞かない子には父親が厳しく叱り、つらい時には母
親が救いの手を差し伸べ、困った時には皆で相談します。
 それは見事に「親学」の考え方と合致し、家庭や社会における和の大切さ、子育てのヒントがちりばめ
られているのです。
 そればかりか日本の歴史、伝統、文化はもとより、自然を含めた命の尊さ、祖先を敬う心、全ての事象
の調和などの宗教的情操、日本人のアイデンティティの源である和の心、倫理、道徳観、叡智もふんだん
に盛り込まれているのです。正に子育ての教科書なのです。
 だから、今、日本神話の絵本なのです。

 教基法改正に伴い、平成23(2011)年度から実施される小学校の学習指導要領には、小学1年生には
「神話の読み聞かせ」が、小学6年生には「神話の研究」が加えられました。その準備にもなるでしょう、
皆様もぜひ、子供たちに読み聞かせてあげてください。

 読み聞かせのルール

1.ゆっくり正確に読みましょう。
  勝手な解説、アドリブは入れず、絵本のメッセージをそのまま伝えることが大切です。
2.途中で子供からの質問は受けないようにしましょう。
  物語の世界を中断させることになります。
3.子供に好きな絵本を選ばせ、何度も読み聞かせてあげましょう。
  興味を持たせることが何よりも大切なポイントです。
4.絵本の理解は子供に任せましょう。
  その時々の自由な解釈、感想が情動の発育につながります。
5.本に、難しい、簡単という感覚は要りません。
 子供自身に音読させることで教育効果はさらに高まります。
 参考文献『その子育ては科学的に間違っています』(國米欣明著・三一書房発行)